〈物語〉シリーズ『傷物語』(甲府)【舞台探訪・聖地巡礼】
物語シリーズの中で、一番過去に当たる話となる「傷物語」が、三部作の劇場アニメとして、第一部となる「鉄血編」が平成28年1月に公開されました。
時系列的には、化物語より前の話になるのですが、制作された時期の問題や劇場用アニメということもあってか、本作では、忍野メメが寝床にしている学習塾跡のモデルがこれまで公開されているエピソードのものとは変更されており、山梨文化会館(山梨日日新聞・山梨放送本社)と思しき建造物がモデルになっていました。

日本建築界の巨匠、丹下健三氏の設計した建築物として有名でしたので、以前に写真を撮りに訪問したことがあり、トレーラーで登場した瞬間に山梨文化会館だと思いました。こんな特徴的な建物はそうそうないですし、この圧倒的な存在感と重厚感は丹下建築の中でも最高の傑作だと個人的には思っているのです。
ただ、キャプを取っていざ、現地に訪問して気づいたのですが、作中のこの建物、物理的に存在し得ない形をしていて、カットが再現できないのです。
左上の画像を見ると、上層部分は構造物がなく樹木が見えている状態で、かつ右側部分は建物が半分程度の高さしかありません。ところが、左下の建物を斜めから見た画像を見てみると、樹木が見える様な部分がありません。右の画像2枚に関しても同様です。つまり、作中の様な建造物は立体としては存在し得ないのです。
実際に様々な角度から写真を撮ってみたのですが、いずれの角度でも、作中のカットとぴったり合う形をしておらず、微妙に何かが違うという結果でした。
「南→南東→東→北東→北→北西→西→南西」の順で8方向から並べてみます。


左:南 右:南東


左:東 右:北東


左:北 右:北西


左:西 右:南西
ということで、いずれの角度からも作中の建造物と完全一致はしませんでした。
ただ、細かいパーツに目を向けてみると、やはり、これが山梨文化会館をモデルとしたとしか考えれない部分ばかりです。

赤丸で囲った部分ですが、線の数などが全く同じです。

空撮はできないので、模型との比較ですが、やはり赤丸で囲った突っぱった部分などが一致しています。
また、内部のカットでは、何故か背景に大きな富士山が登場するシーンがあり、山梨の建造物をモデルにしたことを匂わせてきます。そしてそのカット自体も、山梨文化会館をモデルにしたとみて差し支えない程によく似ている場所がありました。

こちらはエントランスの南側の窓ガラスですが、格子のデザインが大変よく似ています。エントランス部分は2階にカフェもあり、一般の人間も自由に出入りできる様になっています。また、丹下建築の写真を撮りに来る方が昔から沢山いるとのことで、写真撮影もOKでした。上述の模型もこちらに展示されています。
なお、静岡県・山梨県出身の人にはすぐ分かるかと思いますが、この富士山は山梨側から見たものではなく、静岡側から見たものです。右側の窪んだ部分は宝永火口と呼ばれる江戸時代の大噴火の跡で、この位置に宝永火口が見えるとなると、富士市辺りから見た富士山ではないかと思います。

その他の内部カットに関しては、見学できる範囲内では似た部分はありませんでした。
山日YBSグループで働いている方に是非、確認して頂きたいものです。
ということで、検証は以上です。これらの状況を総合すると、学習塾跡の廃墟のモデルは山梨文化会館をモデルにしたものと結論付けて問題ないように思います。
ここまで完全には一致しない用に改変しているところを見ると、取材申請などはしていないと思いますが、通常の建造物と違い、著名建築家の作品ということもあって、まったくもってそのままの形状というのは、諸々の権利関係上、好ましくないという判断があったのではないかという風に思ってしまいますね。まして、一瞬背景に登場するという類の場所ではなく、本作のメインの舞台ともいえる場所ですし。

ということで以上です。同じ建物のはずなのに、何故かそれぞれの角度から見たものを合わせても一致しない…設定ミスということはありえないでしょうから、何か意味があるのかもしれません。とりあえず、第三部まで見届けてから、再度検証してみようと思います。
時系列的には、化物語より前の話になるのですが、制作された時期の問題や劇場用アニメということもあってか、本作では、忍野メメが寝床にしている学習塾跡のモデルがこれまで公開されているエピソードのものとは変更されており、山梨文化会館(山梨日日新聞・山梨放送本社)と思しき建造物がモデルになっていました。

日本建築界の巨匠、丹下健三氏の設計した建築物として有名でしたので、以前に写真を撮りに訪問したことがあり、トレーラーで登場した瞬間に山梨文化会館だと思いました。こんな特徴的な建物はそうそうないですし、この圧倒的な存在感と重厚感は丹下建築の中でも最高の傑作だと個人的には思っているのです。
ただ、キャプを取っていざ、現地に訪問して気づいたのですが、作中のこの建物、物理的に存在し得ない形をしていて、カットが再現できないのです。
左上の画像を見ると、上層部分は構造物がなく樹木が見えている状態で、かつ右側部分は建物が半分程度の高さしかありません。ところが、左下の建物を斜めから見た画像を見てみると、樹木が見える様な部分がありません。右の画像2枚に関しても同様です。つまり、作中の様な建造物は立体としては存在し得ないのです。
実際に様々な角度から写真を撮ってみたのですが、いずれの角度でも、作中のカットとぴったり合う形をしておらず、微妙に何かが違うという結果でした。
「南→南東→東→北東→北→北西→西→南西」の順で8方向から並べてみます。


左:南 右:南東


左:東 右:北東


左:北 右:北西


左:西 右:南西
ということで、いずれの角度からも作中の建造物と完全一致はしませんでした。
ただ、細かいパーツに目を向けてみると、やはり、これが山梨文化会館をモデルとしたとしか考えれない部分ばかりです。

赤丸で囲った部分ですが、線の数などが全く同じです。

空撮はできないので、模型との比較ですが、やはり赤丸で囲った突っぱった部分などが一致しています。
また、内部のカットでは、何故か背景に大きな富士山が登場するシーンがあり、山梨の建造物をモデルにしたことを匂わせてきます。そしてそのカット自体も、山梨文化会館をモデルにしたとみて差し支えない程によく似ている場所がありました。

こちらはエントランスの南側の窓ガラスですが、格子のデザインが大変よく似ています。エントランス部分は2階にカフェもあり、一般の人間も自由に出入りできる様になっています。また、丹下建築の写真を撮りに来る方が昔から沢山いるとのことで、写真撮影もOKでした。上述の模型もこちらに展示されています。
なお、静岡県・山梨県出身の人にはすぐ分かるかと思いますが、この富士山は山梨側から見たものではなく、静岡側から見たものです。右側の窪んだ部分は宝永火口と呼ばれる江戸時代の大噴火の跡で、この位置に宝永火口が見えるとなると、富士市辺りから見た富士山ではないかと思います。

その他の内部カットに関しては、見学できる範囲内では似た部分はありませんでした。
山日YBSグループで働いている方に是非、確認して頂きたいものです。
ということで、検証は以上です。これらの状況を総合すると、学習塾跡の廃墟のモデルは山梨文化会館をモデルにしたものと結論付けて問題ないように思います。
ここまで完全には一致しない用に改変しているところを見ると、取材申請などはしていないと思いますが、通常の建造物と違い、著名建築家の作品ということもあって、まったくもってそのままの形状というのは、諸々の権利関係上、好ましくないという判断があったのではないかという風に思ってしまいますね。まして、一瞬背景に登場するという類の場所ではなく、本作のメインの舞台ともいえる場所ですし。

ということで以上です。同じ建物のはずなのに、何故かそれぞれの角度から見たものを合わせても一致しない…設定ミスということはありえないでしょうから、何か意味があるのかもしれません。とりあえず、第三部まで見届けてから、再度検証してみようと思います。
スポンサーサイト
コメントの投稿
お邪魔します。
日本の法律では建物の外観には著作権が及ばないことになっているので大丈夫なのではないでしょうか。
もちろん、礼儀的な面は別ですが…
日本の法律では建物の外観には著作権が及ばないことになっているので大丈夫なのではないでしょうか。
もちろん、礼儀的な面は別ですが…
Re: タイトルなし
>ぺるしゃ様
早速のコメント、ありがとうございます。
まだ、実は記事は作成中な感じでしのたで、早速コメントを頂いて恐縮しております(;^^
ご指摘の通りかと思います。
法的には仮に訴えられたとて、問題あるってことはないのでしょうけれども、法的に許されればやっていいかというのは別問題ですものね…。
これまで、シャフトさん制作のアニメのモデルを探してきた中では、個人のブログに掲載されている写真をそのままトレスしたみたいなものもありましたけど、権利関係にうるさそうな法人相手にこれをやると、何があるかわからないですし、やはり、道義的にどうかって話になっちゃいますよね。
そっくりそのままモデルにしなかったのは、やはり何か背景があるんだろうなぁと色々と想像してしまいますねw
> お邪魔します。
> 日本の法律では建物の外観には著作権が及ばないことになっているので大丈夫なのではないでしょうか。
> もちろん、礼儀的な面は別ですが…
早速のコメント、ありがとうございます。
まだ、実は記事は作成中な感じでしのたで、早速コメントを頂いて恐縮しております(;^^
ご指摘の通りかと思います。
法的には仮に訴えられたとて、問題あるってことはないのでしょうけれども、法的に許されればやっていいかというのは別問題ですものね…。
これまで、シャフトさん制作のアニメのモデルを探してきた中では、個人のブログに掲載されている写真をそのままトレスしたみたいなものもありましたけど、権利関係にうるさそうな法人相手にこれをやると、何があるかわからないですし、やはり、道義的にどうかって話になっちゃいますよね。
そっくりそのままモデルにしなかったのは、やはり何か背景があるんだろうなぁと色々と想像してしまいますねw
> お邪魔します。
> 日本の法律では建物の外観には著作権が及ばないことになっているので大丈夫なのではないでしょうか。
> もちろん、礼儀的な面は別ですが…